千葉県 船橋市 会計事務所 税理士 元橋会計事務所

千葉県 船橋市 会計事務所 税理士 元橋会計事務所

千葉県 船橋市 会計事務所 税理士 元橋会計事務所
事務所概要
アクセス
顧問料
お問合わせ

千葉県 船橋市 会計事務所 税理士 元橋会計事務所
税務会計業務
資産運用・相続税対策
コンサルティング業務
その他サービス

千葉県 船橋市 会計事務所 税理士 元橋会計事務所
事務所コラム
リンク集
プライバシーポリシー


千葉県 船橋市 会計事務所 税理士 元橋会計事務所

事務所コラム


Column
H26.11.13 その人は一体、どんな人物なのか

●極悪非道な市九郎め!
 「あの人は、こういう人だ」などと、人はよく周囲の人を評価する。
評価に際しては、その人の一面とか二面だけを見て判断する人も少なくない。たとえば、「どうしてこんなクズみたいな人間が議員なんだ!」と思われる人間は、国会にも県会や市会にも紛れ込んでいる。しかし考えてみると、その人に投票した有権者(支持者)がいるはずだ。
そういう人は一体、相手の何を聞き何を見て、人物を判断しているのだろうか。
さて、大分県の中津に耶馬溪(やばけい)という観光名所がある。紅葉の時期は客が殺到する。しかしここには、歴史的な名所がある。「青の洞門」というトンネルだ。
このトンネルに題材をとった感動的な小説が、菊池寛が書いた「恩讐の彼方に」である。
簡単に粗筋を紹介すると、小説の主人公は市九郎という男。浅草田原町の中川三郎兵衛という旗本の家に奉公していたが、なんと旗本の彼女とできちゃった。それがあるじの三郎兵衛に知られ手討ちになりかけたが、反撃に出るや逆にあるじを殺してしまった。
仕方がない市九郎は、この女と連れ立ち出奔するや、やがて二人は中山道屈指の難所と言われる鳥居峠に茶屋を出した。仲のいい夫婦茶屋・・と見えたが、じつは相変わらず旅人を襲う強盗殺人が市九郎の陰の本業。ワルの性根は直らないらしい。
しかし瞬く間に時は流れ、ところは大分県中津の難所、耶馬溪の崖ツ淵。
土地の人も人馬も、崖ツ淵を這うようにして作られた細い道を越えて、向こう側に行くしか方法はない。しかし長い間には、数知れない人や馬が、崖から転落し犠牲になった。まさに命がけの難所だが、それでもこの崖を這って移動するしか道はない。

●悪人なのか、仏のような積善家なのか
 ちょうどその頃、みすぼらしい坊主が一人この地を訪れ、「隧道(トンネル)さえあれば人も馬も死なずに済む」といって、鑿と金槌で崖の下の岩山を掘り始めた。
村落の人々は気の遠くなるような夢物語に、気違い坊主とか世迷い乞食と呼び、嘲笑い馬鹿にしていた。しかし、半年がたち一年が過ぎ、三年を経ても鑿と金槌の音は一日たりとも休むことがない。そして一人が茶を運ぶかと思うと、一人が掘削作業の手伝いを始めるようになった。こうやって傍観者たちも共同作業に加わるようになり、掘削は急ピッチで進んだ。とはいえ固い岩山。1746年になり、なんと21年の歳月を費やしてついに隧道は貫通した。
さて単身掘削を始めた坊さんは「禅海」と称していたが、21年間の日陰での重労働に、堀り始め当時の面影もなく衰え萎えていた。いつも側にいた実之助という若者は、苦労に苦労を重ねる労働だっただけに、この痩せ萎えた坊さんと手を取り合って貫通を喜び合った。
じつはこの実之助という若者は、市九郎に殺された三郎兵衛の息子で、父の仇である市九郎を捜し求めて故郷を後にしていたのだ。そしてとうとう、「禅海」と名乗り隧道を掘るこの男こそ、いくら憎んでも憎み足りない市九郎と知ったのだった。
しかしあまりにも、「危険な崖を這う人々を助けたい」と願う悲願と熱意の強さに、昔の市九郎を忘れ去り、仏様のような禅海和尚のパートナーになったのである。
禅海和尚は隧道が貫通するや実之助の前に、「俺が間違いなく市九郎だ、さあこの場で討て」と全身を投げ出したが実之助は「もはや討ち果たしました。市九郎はもはやこの世にはおりませぬ」と言い、隧道貫通の喜びを二人して手を取り合って喜んだ、というのだ。
さあ、ここまで読了されたあなたは、21年の歳月を隧道堀りに捧げ尽くした市九郎を、いや禅海を、非道な悪人と言い切れますか。さあどうでしょう。
菊池寛は、こういう難題を我々に提供し、人間の読み方を問うたのであろう。
善良ぶった悪人もあれば、刑務所を出た人格者もいる、人の読み方を軽くみてはいけない、という話。

COPYRIGHT(C)2009 税理士法人 元橋会計事務所. ALL RIGHTS RESERVED.