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Column |
H30.11.15 相手の名前を口に出して語る |
第26代の総理大臣の田中義一。 この田中首相の人たらし術は有名だ。独特の凄腕だったらしい。 ある日、田中首相一行が名古屋駅に降りた。首相として飛ぶ鳥を落とす勢いのある頃、駅頭には出迎えの列ができた。 まず地元の名士たちがずらりと並んだ。 一度会ったらたちまちにして相手の名前を覚えてしまう特技がモノを言うのだ。 「やあ、杉山くん。元気にしていたかね」 「木下くん、きみの健筆には、いつも勉強させてもらっとるぞ」 という調子で進んでいくのである。 このようにして、相手の名前を口にしながら進むのだが、相手はそれぞれ自分の名前を口にする首相に感じ入っている。 ところが田中は、ある若い人物を前にするや、こう言った。 「ところできみのお父上は、元気にしておられるか」 「お陰様で元気にしています」 こう言って恐縮して答えたそうだ。 あとで側近が尋ねたそうだ。 「総理は、彼の父上ともご親交がおありですか」 「いや全然知らん。彼の名前を忘れたもんで」 これには総理は自分だけを覚えていなかった・・という差別感をなくするための、咄嗟の頓知だったのだ。 ところで我々も、相手の名前を忘れることはある。 そんなとき、田中首相はずばり尋ねたそうだ。 「ところで君の名前は?」 相手は変な感じで答えたという。 「古田でございますが・・」 すると、首相は言ったそうだ。 「古田くんは分かっているよ。フルネームを聞いているんだ」
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