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Column |
H30.3.19 些事にも神経が働く人に金も惚れる |
●シワくちゃの札扱いには金も避けて通る 紙幣をくちゃくちゃにして、ポケットに入れるような人は金にも嫌われる、と言ったのは、原安三郎(元日本化薬社長)だが、似たようなことを語った人が別にもいる。あの小林一三である。 「ぼくは三井銀行大阪支店の貸付課員だった頃、銀行へ客がやってくると、よく先立って履物を揃えたものだ。銀行は本来、腰を低くすべき商売だが、貸付係でそこまでする人間はいなかった。むしろ威張っていた。それをぼくは、預金する客であろうと、貸付を依頼する客であろうと、相手によって態度を変えることはなかった。 あるとき、桑名(三重県)の素封家で知られた諸戸清六が銀行へやってきて、いざ帰ろうとする際、揃えた履物を見て、諸戸はしげしげとぼくを見て言った。 『あんたは感心な方だ。いまに必ず出世なさるに違いない・・』 」
ところで大財閥の諸戸清六は明治23年に、大金15万円を投じて桑名市に、水道を敷設寄付した。諸戸清六にして、この些事への気付きである。当時の三重県知事の年俸が4千円程度だったから、15万円はざっとみて知事の年俸37年ぶんに当たる。
●小事が大事な結果につながる 多くの人は、「専門のことはわからないからお任せします。とにかくよろしく・・」というような言い方をするのが、素封家は絶対に言わないことだ。 「そんなみみっちいこと、言うなよ・・」などといって、些事を無視して太っ腹を見せる人がいるが、過去の大富豪を見ると、そういう意味の太っ腹は一人もいない。 甲州財閥と呼ばれた雨宮敬次郎は、大きな火鉢を置いた応接間で商談をしていた。 雨宮は、客が帰ると火鉢の灰を見たそうだ。そして語っている。 「信用していい客は、灰を火(木炭)に寄せかけして、保護するように火箸を使う。しかしいい加減な相手は、灰を広げ散らして帰るものだ・・」 金が寄ってくるような人ほど、些事も大事にし、それを習慣化している。
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